なぜ日本は、ITによる労働生産性成長が少ないのか
はじめまして。ヒーローメタジャパン株式会社の三島 一祥です。
私が独立・起業を志したきっかけのひとつは、情報通信白書を読んでいたことでした。
1.9倍と6.2倍
日本と米国の1990年(平成2年)から2005年(平成17年)までの情報化投資の推移を比較すると、日本では約1.9倍の増加に対し、米国では約6.2倍に増加。増加率は日本の3倍以上となっています。
同期間のGDP推移を比較すると、日本は1.2倍、米国は1.5倍。情報通信白書によれば、「情報化のための旺盛な投資需要が当該期間中のGDP成長を牽引してきた」とあります。
0.9%と1.9%
労働生産性成長率に対するTFPの寄与度(2000~2006年)
(情報通信白書2008より引用)

上記は、日本と米国の労働生産性成長の要因を比較したグラフです。
日本の労働生産性成長率は、1995年以降米国よりも低い状況です。
私は日本と米国のグラフの中身の色が、全く異なっていることが気になりました。
緑部分は情報通信資本ストックによる成長。つまりIT関係のハードウェアやソフトウェアの購入によって労働生産性が上がった部分です。
ピンクの部分は、情報通信をのぞく一般資本ストックです。これは、たとえば不動産とか情報通信以外の資本投資による成長部分です。
青い部分のTFPは、「資本や労働といったものでは説明されないその他全ての要因」ですが、具体的には、IT,ICTを使いこなす環境や体制の整備、技術進歩や業務効率性の改善、組織改革や制度変革、等が含まれています。
緑の情報通信の部分と、青のTFP(情報通信の利用などによるイノベーション)の情報通信関係による労働生産性の向上部分は、日本は、全体の成長の53%に比べ、米国は92%となっています。
つまり、日本の労働生産性の向上は、米国と比べ、
情報通信やそれを利用したイノベーションによる成長率が低い
ということでした。
何かおかしい
そう感じました。
私は2000年からゴメスというウェブサイト評価・コンサルティング会社の立ち上げから参画し、7年間、様々な業界のウェブサイトを深く調査し、ビジネスモデルの企画コンサルティングなどもおこなっていました。
その間に、日本の
インターネット人口は2006年で8400万人を超え、
ネット銀行の口座数は、2005年あたりでも2500万件を超えていました。
ネット証券経由の個人株式取引額に占める割合は2005年で50%を超えました。
法人対個人の電子商取引額は、2001年に1兆4千億円だったのが、2006年で4兆4千億円です。
BtoBの法人間の電子商取引額は、2006年時点で、
日本は148兆円、対して米国は95兆円。
調査の誤差があるとしても、日本は米国よりも電子商取引額は多くなっています。
2001年ごろ、私がネット銀行のサービス調査の一環で質問メールを送付したところ、
返信までの平均時間は48時間でした。
それが2003年ごろには、質問メールへの回答は早い銀行では平均4,5時間になりました。
ネット証券では、もっと回答が早く、平均30分くらいの会社もありました。
日本のブロードバンド環境が早く整備されたおかげで、日本の大企業のウェブサイトは、
情報の容量が大きな画像やFlash,動画なども駆使して使いやすくて見やすい
ウェブサイトを作り上げていきました。
一方、ブロードバンドが進んでいない米国のウェブサイトを見ると、容量の問題などで
制限があり、古くさいサイト、デザインのいけてないサイト、機能が少ないサイトも
多数ありました。
私は、ウェブサイトとインターネットに関しては、日本のほうが利便性・デザインともに
優れている部分が多いと感じ始めていました。
ネット上で企業と消費者の中間にたって、消費者が多数の商品サービスをカンタンに
比較できるような価値を提供した比較サイト。
住宅ローン、保険、商品、様々な業種でこの比較サイト(ニューミドルマン)が
ものすごい数生まれました。
比較サイトの数でいえば、日本のほうが、米国よりも多いのでは、と感じます。
私は、
ネット企業のコンサルティングをしている立場から見ても、個人の消費者の立場からしても、
情報通信、インターネットによる日本の経済、労働生産性への貢献は相当あってしかるべきだろうと考えていました。
でも、米国の事情と比較すると、まだまだだったのです。
そういえば、
ウェブサイトの世界をはなれて、自分の会社の業務がITで効率的になったか、と振り返ると、
いろいろな疑問がでます。
2007年時点、大企業の事業ホームページの保有割合は9割に達する勢いですが、
個人事業主、中堅中小企業のホームページ保有率は、39%なのです。
個人事業主、中堅中小企業のうち、電子商取引のショッピングカート機能を提供しているのは、
わずか3%の企業なのです。
日本の電子商取引額は4兆円ですが、法人企業がホームページを持ち、電子商取引で、
本当に儲かるまで、まだまで伸び白はあるのではないでしょうか。
その他にも疑問があります。
なぜインターネットビジネス系の企業なのに、ホームページ制作は企業に足繁く通って営業し、打ち合わせするのか。
なぜ日本の大企業のホームページは多言語対応していないのか。
ゆうちょ銀行のホームページは日本語ページ5000ページ級。なのに英語は100ページ程度。
米国のネット系ベンチャーは、「規模の経済性」を得るために、英語以外の国向けのウェブサイトや支社もつくり、短時間で世界規模の市場を視野にいれた展開をするのに、なぜ日本のネットベンチャーは海外向けウェブサイトづくりの動きが遅いのか。
IT、情報通信、ウェブビジネスに関して、
疑問がわき出てきてしまいました。
私が独立して起業したヒーローメタジャパン株式会社では、
いくつかの疑問、日本がかかえる課題について、まずは貢献したい、という趣旨でサービス展開をしたいと考えています。
1.ウェブサイト構築、管理更新システムの標準化による普及促進
大企業のコンサルティングで培ったノウハウをもとに、価値あるウェブサイト、更新しやすいシステムを標準化し、中堅中小企業のIT労働生産性を上げるようなウェブサイト関連サービスを展開する。
2.世界展開を行いやすいウェブサイトとIT技術を提供し、企業が規模の経済性を得ることを支援する
日本企業が海外市場展開を考えるうえでは、ITとウェブサイトを活用するのがもっと効率的ではないか。であれば、海外展開がしやすいようなウェブサイトづくりやIT環境づくりをお手伝いする。
3.テレワーク、遠隔コミュニケーションをIT技術で実現・普及する
IT技術を駆使して、社内、社外の業務効率化をはかることができないか。
ウェブ技術やセキュリティ技術を用いて、テレワーク(在宅勤務や遠隔地との業務推進)ができる環境づくりを進める。
それにより少子高齢化時代でも労働生産性の向上を目指す。
今は、サービス展開を始めたばかりです。
これから形も変わっていくと思います。
消費者の方、企業の方、両方からのご意見を聞きながら、サービス展開してまいります。
2008年秋
ヒーローメタジャパン株式会社
代表取締役社長 三島 一祥
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